秩父クマップ

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秩父・クマの生息域とはこんな場所

クマは奥山(ブナが生育する標高900m位の場所)を生息域としています。その場所で越冬し、季節によって活動域を変え夏のタケノコや秋のクリなどを目的に里山に来ることがあります。

結論から言えば、秩父札所の巡礼道での目撃情報はほとんどありません。クマは冬眠から目覚めた直後から夏にかけては、奥山でブナの新芽を食し行動範囲も狭いんですね。

奥山クマ生息域

秋から冬にかけては、冬眠前に栄養を蓄えるため行動範囲が広がり、ブナの実が不作の年は里山に出没する回数も当然増えるわけです。秩父札所は、クマの活動域に点在していますが生息域ではありません。

秩父札所に限らず、秩父の山々を歩く時に大事なことは、危険を予測し、クマの特徴を正しく理解すること、そして、人身事故を回避する対策をしっかり行うということだと思います。

秩父札所30番から南約3km 熊倉山での目撃
【Shohchanblog 埼玉で熊に遭遇!】

秩父・クマが出る場所を知りたい【熊の出没情報】

秩父市はホームページ上でクマの目撃情報を公開しています。平成24年から本年度までの期間、秩父市内で熊が目撃された場所を確認することができるんですね。

最新の情報を知ることは、それぞれの個体(クマ)の動きを知る意味でも大事なことですので、徒歩巡礼に挑戦される方はぜひ一度ご覧になってください。

クマに注意!!(クマ目撃最新情報)/ 秩父市

秩父で安心して札所巡りができるよう、当サイト【ゆるーり秩父、寺めぐり。】では、秩父市のクマ目撃最新情報をもとに熊の出没マップを作りました。でも残念なことに、横瀬町、小鹿野町、皆野町については熊の情報がないので、秩父札所巡り全体の傾向を把握することはできません。

下記の地図に示すとおり、秩父札所30番から31番の間はポッカリと空いていますが、その部分は小鹿野町になりますのでデータが存在しないんですね。

秩父・熊出没マップ【秩父クマップ】で見えたもの

【秩父クマップ】秩父市内の熊出没マップ

【秩父市 クマに注意!!(平成24年から平成30年)】

この地図の中で注目すべきところがいくつかあります。まず、ぱっと見でその目撃情報の多さにビックリしちゃうんですね。

でも、よく見ると国道や集落などヒトの営みが行われる場所とそうでない場所、またちょっと見方を変えて、クマの活動域と生息域などでは若干意味が違ってくるんです。あくまで、過去においてクマがヒトと出会った場所ということで、目撃ポイントイコール危険な場所という話ではありません。熊の生息域ではヒトが増えれば目撃数も増えますし、ヒトがいなければ熊アイコン(目撃情報)も無いということになりますので、一旦落ち着きましょう・・・。

そこで、注目すべき点ですが、果たして秩父の登山ルートやハイキングコースは安全なのかという点です。まず最初に比較的人気の高い三峰神社への登山ルートを見ることにします。

秩父クマップ(三峰神社付近拡大図)
三峰神社の地理院地図
「標準地図データ(国土地理院ウェブサイト)をもとに当サイトで作成」

三峰神社への参道は2箇所あります。

それは、国道140号線から登るルートで表参道と裏参道になりますが、平成24年から30年までの7年間で熊の目撃情報はわずか3件なんですね。

生息域となる神社周辺でも、神社裏から旧三峰山ロープウェイ山頂駅付近までは、チラホラと情報はありますが、ヒトが多い神社から駐車場までは、ほとんど目撃情報はありません。さらに、奥宮のある妙法ヶ岳への登山道での目撃情報はたったの1件なんです。

それともう一つ武甲山への登山ルートを見てみます。

秩父クマップ(武甲山付近拡大図)
三峰神社の地理院地図
「標準地図データ(国土地理院ウェブサイト)をもとに当サイトで作成」

武甲山の頂上から右側は横瀬町になり、その山麓の熊出没データはありませんが、秩父市内の浦山口駅から武甲山頂上までのルート(令和元年に被災し現在通行不可)は、なんと目撃件数ゼロ。

登山者の数から考えれば、明らかに少ない件数なんですね。武甲山については石灰岩採掘現場の発破音の影響もあるのでしょうが、これらのことから言えるのは、クマのほうでヒトを避けているということなんだと思います。

さらにもう一点は、荒川の右岸に比べて左岸(下流に向かって左)の目撃情報が極端に少ないということです。

秩父クマップ(三峰口駅付近拡大図)
三峰口駅付近の地理院地図
「標準地図データ(国土地理院ウェブサイト)をもとに当サイトで作成」

秩父・熊出没マップ【秩父クマップ】に色を付けてわかったこと

三峰口駅から下流の荒川左岸を見ると、ほとんどクマの目撃情報がないのが興味深いところなんですね。

そこで、熊出没マップに地理院タイルの色別標高図を割り当てることにしました。

すると、秩父札所32番付近は、標高600メートル以下の山々を連ねていることがわかります。つまり、熊の生息域とは言いづらい場所になっていて、比較的集落も道路の交通量も少ない場所でもあり、その山麓の荒川左岸も同様に、クマの目撃情報が少ない理由になっているものと思われます。

【秩父クマップ】秩父市内の熊出没マップ - 色別標高図データ

【秩父市 クマに注意!!(平成24年から平成30年)】
「海域部は海上保安庁海洋情報部の資料を使用して作成」

また、荒川左岸については小鹿野町との行政界も近くにあり、クマの情報が無いということもありますが、おそらく、南北に走る県道皆野両神荒川線がクマの生息域と活動域を分ける一つのライン(境界線)になっているのかもしれません。

ゆるーり秩父的に言うなら、里山に点在する秩父札所の寺院そのものが、結界になっていると言えば面白いのでしょうが・・・。

現実は厳しいもので、夏から秋にかけてクマの行動範囲が広がる時期は、秩父全ての山で注意が必要です。実際に県道皆野両神荒川線より東側の小鹿野町伊豆沢地内でもクマの出没は確認されていますし、最新の目撃情報(令和3年6月)では、羊山公園や影森小学校など、街のど真ん中にも出てるんですね。もちろんこれはレアケースで駆除の対象になっているようです。

以上のことから、秩父の里山で、実際にクマと出会うことはごく稀なことであって、点と点が重なり合うのは確率的にもかなり低いことなのかもしれません。でも、ヒトの存在を知らせるために、山の中ではあえて音を出す。ラジオや熊よけ鈴など、すっごく大事なことなんだなあと思います。

ココがポイント

ごく稀だが、6月から11月までは秩父全ての山で、クマと遭遇する可能性がある。事故を避けるための熊よけ鈴は必要。保険代わりに熊撃退スプレーもあり。

参考文献

  • 埼玉県ツキノワグマ対策マニュアル 埼玉県環境部みどり自然課
  • 米田一彦 『熊が人を襲うとき』 つり人社
  • 姉崎等・片山龍峯 『クマにあったらどうするか』 筑摩書房

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