ゆるーり秩父、寺めぐり。【秩父クマップ】

熊の出没を地図にしています。

熊のイメージ画像 熊のイメージモバイル用画像
GPS対応熊出没危険度判定アプリ【くまいち】の使い方画像

【2025年版】秩父クマップ|熊の季節でも安心して歩くためのヒント

秩父の熊出没情報を地図にして伝えたかったこと。

2025年の漢字『熊』、人々の暮らしにも影響を与えた一年

2025年はブナの【大凶作】が林野庁・東北森林管理局から発表され、結果として、熊の出没は想定を大きく上回り、年の瀬には、その年の世相を表す漢字に【熊】が選ばれる事態となりました。

人の行動や経済にまで大きな影響を及ぼす出来事として、私たちの記憶に深く刻まれることになったわけです。

秩父札所巡りで遭遇した熊のイメージ画像

当サイトは2014年(平成26年)午歳総開帳の翌年(平成27年9月1日)にスタートしました。当時は【秩父に獣害なし】という根拠のない安心感が、一般的には共有されていたように思います。

十年一昔とはいいますが、情報化社会の発展と共に人々の意識も大きく変わってきました。そして2026年(令和8年)は、そこから一巡りした12年後の午歳総開帳を迎えることになります。

観光と安全、熊情報をどのように扱えばいいのか?

サイト開設の4年前(平成23年)に、秩父札所の徒歩巡礼を満願しました。当時は熊に関する情報がほとんどなく、熊鈴を身につける必要性すら思い至らないほど、無知のまま、巡礼を終えたのを覚えています。

ところが、平成24年に秩父市から熊の出没情報が公開され、なんと、詳細な位置情報までPDFで提供されるようになったんです。すぐにそのデータを地図上で扱える形式(KMLデータ)に変換して保存しましたが、それをそのまま「GISマッピング」として世間に公開することには、強い躊躇(ためらい)がありました。

秩父札所巡りで巡礼者を見ている熊のイメージ画像

なぜかといえば、秩父市作成のデータをそのまま流用するということ、さらには、必要以上に危機感を煽ることで観光に悪影響を与えてしまうのではないか。熊のアイコンだけが独り歩きをして、目撃情報イコール危険な場所として扱われてしまい、リアルな情報が隠されてしまうことなどを理由にしばらく封印していたんですね。

【熊】と【熊のようなもの】では全く違いますから。熊のようなものであれば、私も大輪バス停付近、山側の落石防護柵内で尻を向けて走り去る動物を目撃しています。当時は完全に猿だと思いこんでいましたが、今振り返れば確証はありません。

また、同一個体による複数の目撃情報がマッピング上で重複すると、あたかもその一帯が熊だらけであるかのような過剰な不安を与えてしまう恐れもあるわけですね。 情報の取り扱いの難しさと、リアルな情報をどう伝えていけばいいのか、その模索は今も続いています。

秩父札所巡礼道とクマ生息域の【標高差】

秩父クマップの2021(令和3)年版では、「秩父札所の巡礼道での目撃情報はほとんどありません」と紹介しましたが、その理由を、秩父山地と秩父札所の位置関係から改めて確認してみます。

GISマッピングだけでは伝わりにくい部分を、もう少し深掘りしたいと思いますので、下記の図をご覧ください。 地理院地図を用いて、熊の生息域と考えられている場所を標高別に色分けしたものです。

オレンジ色で示した部分が、熊の生息地とされる標高900m以上のエリアで、秩父札所の江戸巡礼古道は、そこから大きく離れた位置にあることが、一目でおわかりいただけると思います。

秩父近郊の色別標高図
0~500m500~900m900~1800m1800m~巡礼道
秩父札所巡りの巡礼道と熊の生息地の地理院地図

「色別標高図データ(国土地理院ウェブサイト)をもとに当サイトで作成」

次の図は、北緯35度57分付近を東西に切り、真横から見た断面図になっています。

江戸巡礼古道の最低地点は、秩父市下吉田の吉田橋(吉田川と赤平川の合流点付近)で標高182m。最高地点は、徒歩巡礼の結願(ゴール)にほど近い札立峠の538mです。道中の平均標高は280mとなっており、巡礼道の大部分がクマの主たる生息域よりも低い標高帯に位置していることが、数値的にもご理解いただけるかと思います。

緯度方向断面図
秩父札所巡りの巡礼道と熊の生息地の関係を示す緯度方向断面図

また、古道が現存するのは一部で、巡礼道のほとんどが舗装された一般道です。そのため、クマ対策が特に必要となるのは、大日峠や札立峠、そして26番奥の院・岩井堂を参拝する際などに限定されるのではないでしょうか。

今回、巡礼道の標高データを調べていくと、33番から34番へ向かう途中に最低地点と最高地点があることがわかりました。1番から2番への道も急坂ですが、巡礼の最初と最後に難所が待ち構えているのは偶然なのか、天の差配なのか、とても興味深いところですね。

秩父クマップの開発から新アプリ『くまいち』誕生まで

巡礼の道に忍び寄る影、平成28年・山の安全性が問い直された年

2014年(平成26年)の午歳総開帳の年は、サイト開設の準備も兼ねたドライブ巡礼で、事あるごとに秩父周辺を散策しました。

そんな折、わりと市街地に近いセメント搬送用の線路で熊の目撃情報が出たんです。たまたまその付近にお住まいの方とお話しした直後だったため、強い衝撃を受けたのを覚えています。

秩父の市街地に近い線路付近にいる熊のイメージ画像

当時はまだ、地域全体として熊への警戒感は薄く、どこで尋ねても「秩父で熊に襲われた話は聞かない」という楽観的な意見が一般的でした。

ちなみに、「秩父クマップ」内に記載されている平成26年8月・上吉田での事故も、当時は周知されることはなく、2016年(平成28年)の報道で初めて知ることになります。

平成24年には琴平ハイキングコース(日野田町)や、府坂峠沿い(寺尾)での目撃がありましたが、これらはあくまで「山の中」での出来事です。しかし、セメント用線路の件は、熊が山際まで出てきているという事実を突きつけ、人と獣の棲み分けの緩衝帯が徐々に狭くなっているのを実感させられる出来事となりました。

その後、別ページでも説明したとおり、平成28年(2016年)の秋田県での死亡事故に続き、秩父の山中でも人身被害が相次ぎ、この年は、山の安全性を考えるうえで、ひとつのターニングポイントとなる重要な年になったわけです。そして、この年もブナは【凶作】であったことを後に知ることになります。

巡礼者の安全を願って。熊情報の公開から新アプリ【くまいち】へ

2021年(令和3年)のゴールデンウィーク明け、秩父市街地に隣接する羊山公園で熊が目撃されました。その直後には影森小学校付近でも確認され、秩父市からは有害鳥獣捕獲の許可が出される事態となります。

秩父の市街地に近い羊山公園で人を見ている熊のイメージ画像

この状況を受け、それまで封印していたGISマッピングの公開を決意したわけです。

それは、今後、人里や秩父札所巡礼道への熊出没が頻繁に想定されるため、熟慮を重ねた結果、過去のデータのみ掲載し、最新の情報は秩父市のサイトを利用していただくという配慮をしたうえで、クマへの恐怖や巡礼の厳しさを知る者の行うべき道として、あくまでも、秩父の道を歩く人への敬意として真実を伝えようとした結果なんですね。

10年以上培ってきたマッピングの技術を活かした【秩父クマップ】は、【ゆるーり秩父、寺めぐり。】のひとつのセールスポイントでもあり、巡礼者を守るための慈愛の心であると考えています。

さらに、令和7年度から秩父市の熊出没情報は、埼玉県みどり自然課の「埼玉県ツキノワグマ出没マップ」に位置情報を統合・共有されるようになりました。これを受け、当サイトが担ってきた独自マッピングの役割は、一つの節目を迎えたというふうにも考えています。

秩父の森の中でアプリを作る男性とそれを見る熊のイメージ画像

そこで、2025年(令和7年)次なる一歩として、熊出没情報アプリ【くまいち】を開発しました。

インストールの必要もなくWEB上で全て完結し、プライバシーに配慮して、位置情報もサーバー上に保存や共有はされませんので、どうぞ安心して使ってください。

ちなみに『くまいち』は学生時代の友人のニックネームです。懐かしき友のように、皆様の道中に寄り添う存在になれば幸いです。

令和の巡礼スタイルを確立するために、総開帳の道を歩く皆様へ

2025年を総括すると、秩父市内では幸いにして人身被害こそなかったものの、物損や痕跡は前年をはるかに凌ぐ数になり、目撃数はピークだった2023年を超える74件に達しています。

秩父市内の熊目撃数と結実予測の比較ブナの不作年
西暦(和暦) 秩父市熊目撃数 ブナの結実予測
2025(R7) 74 大凶作
2024(R6) 33 並作~豊作
2023(R5) 73 大凶作
2022(R4) 31 並作~豊作
2021(R3) 25 凶作~豊作
2020(R2) 25 大凶作~並作
2019(R1) 34 大凶作~凶作
2018(H30) 25 並作~豊作
2017(H29) 18 大凶作~並作
2016(H28) 35 皆無~凶作
2015(H27) 27 並作~豊作
2014(H26) 33 皆無~凶作
2013(H25) 20 並作~豊作
2012(H24) 45 皆無~並作

熊目撃数は秩父市役所、結実予測は林野庁東北森林管理局
のウェブサイトをもとに当サイトで作成

10月に埼玉県から発表された樹種の豊凶調査(ブナは大凶作、ミズナラは豊作、コナラは凶作)と熊の出没件数の関係は、樹種による違いはあるものの、豊凶結果どおりということになったわけですね。

ちなみに当方の自宅にある柿や獅子柚子は大豊作で、熊を寄せ付けないよう、柿は早い時期にすべて処分しています。こうした豊凶を繰り返す大自然の不思議なサイクルと熊の動向は、切っても切れない関係があるようです。

秩父札所午歳総開帳の御本尊のイメージ画像

さて、2026年(令和8年)、いよいよ迎える「午歳総開帳」はどうなるのでしょうか。 過去の統計を見れば、大凶作が連続することは稀であり、その点は一つの安心材料と言えます。また、2014年当時と決定的に違うのは、人々の意識です。

今や秩父の各地で熊鈴の音が響いています。ミューズパーク内はもちろん、武州中川の駅前でさえ熊鈴を鳴らす方をお見かけするほど、獣害への備えは日常の光景となりました。

「秩父クマップ」から導き出した現時点での結論として、徒歩巡礼を計画される皆様へ提案があります。

まずは、比較的出没が落ち着いている3月から5月までの3ヶ月間で巡礼を行い、一旦様子を見るのが良いと考えます。その後は7月に発表されるブナの豊凶指数に注目してください。「凶作」の年は活動域が拡大するため、より慎重な対応が求められます。

いずれにしても、熊鈴、熊撃退スプレー、爆竹などの準備を整え、万全の対策をした上で、秩父の素晴らしい巡礼の道を愉しんでいただきたいと切に願っています。

ココがポイント

午歳総開帳の2026年は豊作!?ブナの豊凶指数に注目!

参考文献

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秩父クマップ【2023】の画像

【2023年版】秩父の熊出没情報と究極の対策

令和5年(2023年)は早い時期からブナの凶作が伝えられていて、東北地方の各県では秋以降の熊に対する注意喚起がなされていました。蓋を開けてみれば予想どおりの結果となり、熊被害の件数も記録的なものになっています。
熊出没危険度判定アプリ【くまいち】の画像

熊の目撃情報はアプリで確認!秩父を安全に楽しむ方法

秩父での登山や札所巡礼に。位置情報を活用し、今いる場所の「熊出没危険度」を0〜8の数値で判定するアプリ【くまいち】を紹介します。半径100m以内の過去の目撃件数や標高、周辺環境もひと目で把握。ただの地図では得られない安心を、秩父を歩くあなたのスマホに。