【秩父札所】巡礼道の総延長が100kmあるのか調べてみた!
地理院地図とエクセルを使って巡礼道の距離を計算する。
秩父札所めぐりの1番札所から34番までの巡礼距離は100km程度になるといわれています。誰かが地図上でキルビメータ【1】を回したのでしょうか?、具体的に【100】いう数字が出ていることに興味が湧くんですね。
控えめに86kmとする文献【2】もありましたので、それならばと、管理人の探究心に火がつき、調べてみることにしました。
歩行距離はドンピシャで100kmかも!
結論から言うと江戸巡礼古道の総延長は89.9km(水平距離)です。
ただし、この数字はほとんど意味がありません。定説になっている100kmも、控えめな86kmも間違いではないんですね。なぜかというと、巡礼道が確定していないところで、正解はないということです。なんだか、般若心経を解説しているような気分になってきました。
幹線道路には歩道が両側にありますし、山中のジグザグになった登山道を正確に把握するのは難しいわけですね。また、衛星を使ったGPSのデータも誤差があります。
そんな条件の中で、ゆるーり秩父、寺めぐり。が出した答えは、水平距離で89.9kmです。実際の歩行距離は、峠をいくつも超えることになりますので、もう少し長くなります。山間部の占める割合と寺院の境内での歩行分を足してジャスト100km!こんな感じでゆるーり秩父、寺めぐり。の管理人は考えています。
緯度経度の地点情報からKMLデータを作る。
それでは本題に入りまして、なぜそのような結果になったのか、水平距離で89.9kmの計算方法をお話します。
まずは国土地理院ウェブサイトから地理院地図を開きます。
地理院地図の左下矢印を2回クリックします。
画面下に黒いタブが表示され、画面中央にある中心十字線の緯度経度・標高が表示されます。
これを1つの地点情報として複数並べて、そこに、ほんの少し情報を足してやるとKMLデータと呼ばれる汎用の交換フォーマットになり、いろんな場所で使えるわけです。ゆるーり秩父、寺めぐり。では4177個の地点情報を使って、江戸巡礼古道のKMLデータを作っています。それを地理院地図上で描画したものがこちらなんですね。
KMLデータを国家座標に変換して距離を計算する。
KMLデータの目的は、データの可視化【地図への表示】になります。さらに、地点情報間の距離を求めるには、緯度経度よりも座標値であれば、わかりやすくて簡単に理解できそうです。
ただし、地球は球面【3】なので、平面座標で考える場合は無理があって、場所によって子午線【真北】の修正が必要になるんですね。そこで、国土地理院では国土地理院|測量計算サイトを開設して、位置の基準を整備しているわけです。
秩父周辺の規模であれば、補正なしでも良いかと思いますが、汎用性を考えて、すべて前述のサイトで緯度経度から平面直角座標への換算をすることにしました。そのあとは三平方の定理でcをエクセルで計算して合計すればいいわけですね。
直角三角形において、直角を挟む2辺をaとb、斜辺をcとすると
三平方の定理(ピタゴラス)
という訳で、次の表はエクセルで地点情報の1番から4177番を座標に変換して、点間距離を計算した結果になります。
4181行目の追加距離を見てみると89917mが表示されていますので、ゆるーり秩父、寺めぐり。は、秩父札所江戸巡礼古道の総延長を89.9kmとしました。
水平距離と地表面距離の差はどの程度なのか?
最初に山間部の占める割合と境内での歩行分を足して100kmと申し上げました。その理由というのは、自動車が走れる場所であれば、ほとんどその差が無いからです。
仮に20%の上り勾配があったとしても
aを水平距離【100m】、bを高さ【20m】、地表面距離をcとすると
三平方の定理(ピタゴラス)
この程度ということになります。
※1 地図上の距離を測る道具。図面上で道路をなぞるように機器の先端を転がして計測する
※2 関東の道 関東歴史街道 関東地方建設局道路部
※3 実際は楕円体。国土地理院ではガウス・クリューゲル図法を基に、平面直角座標への換算をしている。